最近、クライアントワークでも、生成AIで作ったイメージ画像をいただくことが増えてきました。
「こんな雰囲気でお願いします。」
以前は言葉だけで説明していたイメージが、一枚の画像で共有できるようになりました。
これは本当に大きな変化です。
デザインの打ち合わせもスムーズになりましたし、「こんな感じなんだな」という共通認識も作りやすくなりました。
だから私は、生成AIがデザインの現場に入ってきたことを、とても良い変化だと感じています。
でも最近、制作を進めながら一つ気付いたことがあります。
それは、画像があるからこそ、「どこが良いと思ったのか」が分からなくなることがある、ということです。
同じ画像を見ても、見ている場所は違う
先日、あるポスターの打ち合わせで、発注資料として生成AIで作られたイメージ画像を見せていただきました。
とてもインパクトがあって、明るく、元気が出るデザインです。
「この方向で進めましょう。」
最初はそんな話をしていました。
ところが、商品の話を聞いていくと少し違和感がありました。
その商品は価格帯もしっかりしていて、素材や品質にも強いこだわりがあります。
だとすると、本当に伝えるべきなのは、元気な印象よりも、高級感や信頼感ではないだろうか。
そんなことを感じたんです。
そこで、「この画像のどこが気に入りましたか?」と聞いてみました。
返ってきた答えは、私の予想とはまったく違いました。
「コピーがしっかり目に入るところが良かったんです。」
なるほど。
発注者が見ていたのは、デザイン全体の雰囲気ではありませんでした。
コピーの伝わりやすさだったんです。
それなら、方法はいろいろあります。
周りの情報を少し整理する。
余白を活かす。
視線の流れを工夫する。
必ずしも、その参考画像のテイストを再現する必要はありません。
危うく、みんなで違うゴールを目指して進んでしまうところでした。
AI以前は、もっと細かく話していた
少し前までは、参考資料を何枚も並べながら話すことが多くありました。
「このデザインの色が好きです。」
「このレイアウトの余白が好きです。」
「このフォントの雰囲気がいいですね。」
そんなふうに、一つずつ確認しながら方向性を決めていました。
生成AIは、一枚で完成形のようなイメージを作ってくれます。
だからこそ便利です。
でも、その完成形があることで、「何が気に入ったのか」を話す時間が少し減ってしまったようにも感じています。
デザイナーが知りたいのは、画像の理由
生成AIで作った画像は、目的地の写真によく似ています。
「こんな場所へ行きたい。」
それは、とてもよく伝わります。
でも、その目的地までの地図はまだ描かれていません。
デザイナーが知りたいのは、画像そのものではなく、その画像を選んだ理由です。
例えば、
- 何を解決したいのか
- 誰に届けたいのか
- どんな場面で使うのか
- この画像のどこが気に入ったのか
そんな背景が分かるだけで、提案できるデザインは大きく変わります。
生成AIは、会話のスタート
もし、生成AIで作った画像しかなくても大丈夫です。
「この色が好き。」
「この余白が見やすい。」
「この高級感がいい。」
そんな一言があるだけで、デザイナーは意図を整理しながら提案できます。
生成AIのおかげで、デザインの発注は以前よりずっと具体的になりました。
でも、本当に良いデザインを作るために必要なのは、一枚の画像だけではありません。
その画像について、一緒に話す時間です。
デザインは、答えを描く仕事ではありません。
一緒に答えを見つけていく仕事です。
生成AIのおかげで、そのスタートラインはぐっと近くなりました。
あとは、その画像を見ながら少し話してみるだけ。
そんな対話の中から、本当に伝わるデザインが生まれるのだと、最近は感じています。

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