自由に旅をする事ができない今だからこそ、外の世界への憧れがふくらんでいきますよね
そんな今だからこそ、家の中でも外の世界のリアルな空気を感じられる一冊の本をご紹介します
『僕が旅人になった日』(ライツ社刊)
20人の旅人の生の声
文章を書いているのは20人の学生やサラリーマンなど一般の方々
それぞれが20ページ程度のショートストーリーですが、プロのライターが書いたステキな文章にはないザラザラとした一種の手触りのようなものがあります
その手触りのある文章からは、その土地土地の地面や壁の素材感、目の前にいる人や訪れた村の匂いまでもが伝わってくるような、強いリアリティーを感じます
素直に淡々と書き綴られたノンフィクションがとても心地よく、本当に自分のペースで知らない土地を気ままに歩いている、そんな気分にさせてくれます
記憶に残るエピソード
20のエピソードの中で特に印象的だった物語があります
ーー いつもパワフルに家族を引っ張っていく、旅が大好きな父。夢は大好きな冒険作家の作品に出てくる「聖地ユーコン川」をカヌーで冒険する事。子どもが小さい頃はよく家族旅行をしていました
時は流れ、子どもたちが大きくなるにつれ家族で旅行する事がめっきり減ってしまいます。その寂しさから逃れるかのように父は酒に走り、家族の絆は徐々に希薄に。そして不況のあおりも受け事業は悪化し、ついには家族が離散
パワフルだった父も日に日に弱り、頑固な性格も悪く作用し孤立していきます
そんなある日、父から弱々しい声で「一緒に病院に行ってくれないか?」という電話が……
……..この先はぜひ、ご自身で読んでみてください。泣けます
まとめ
日本人は海外への旅行が極端に少ない国です。自国を愛しているということもあると思いますし、それはそれでいいことだと思います。
しかし、自分の大好きな国だからこそ、他の国の事をもっと知り、外側から日本を見てみることも大切だと思います。
数ヶ月もすれば落ち着くだろうという甘い予想とは裏腹に自粛生活は2年目に突入してしまいました
自由に旅をする事を禁じられてしまった今は、この一冊で誰かの旅に便乗させてもらうのはいかがでしょう?
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